毎年6月の末頃になると、あちこちの神社で「夏越の祓(なごしのはらえ)」という行事が行われます(最近では新暦7月末に行うところもあります)。
この行事って意外と知らない人も多いのではないのでしょうか。
そこで、知っている人は知っている夏越の祓の意味や由来を説明していきますね。
また夏越の祓のときに行われる茅の輪くぐりの由来ややり方も解説していきますね。
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目次
夏越の祓(なごしのはらえ)の意味と由来は?
夏越の祓のそもそもの由来は?
夏越の祓(なごしのはらえ)の歴史は古く、日本最古の歴史書とされる古事記にその原型が見られます。
その後、飛鳥時代末期に大宝律令という法律で、制度として定められました。
その当時の夏越の祓は、天皇の居住する大内裏(だいだいり)というところで、天皇に仕える役人たちが神道(しんとう)の行事である「大祓詞(おおはらえのことば)」を、国民の平安のために読み上げるというものでした。
それが時が経つにつれて、次第に各地方の神社でも行われるようになっていきました。
ちなみに夏越(なごし)とはどういう意味?
夏越とは旧暦(太陰暦)の6月30日のことです。
西日本の地方によっては、今も6月30日のことを「夏越(なごし)」といいます。
また地域によって「輪越(わごし)」「名越」などとも書きます。
「年越しの祓」と対で「夏越」と呼び、神社によっては年越しのタイミングでも「年越しの祓」をするところもあります。
ちなみに祓(はらえ)とは?
ちなみに祓(はらえ)とは神道(しんとう)では、禊(みそぎ)、斎戒(さいかい)と並ぶ、極めて重要な浄化の儀式のひとつです。
「はらい」ともいいます。
古代神道では、罪を犯したものには「汚穢(おえ)」というものがつき、神から忌み嫌われました。そこで神を怒らせないように(つまり災いが起きないように)「祓(はらえ)」の儀式を行いました。
いまでは、「おはらい」として神社で一般的に行われるようになっていますよね。
例を挙げると、厄ばらいなどもそうです。
つまり夏越の祓は一年が半分が経ったときにおはらいすることで、無病息災を祈る行事になっています。
茅の輪くぐりの由来ややり方は?
一般的に夏越の祓では、茅の輪くぐりが行われます。
茅の輪の「茅」は、「チ」とも「チガヤ」とも読みます。
茅葺屋根(かやぶきやね)の材料などに使うイネ科の植物の総称です。
それを大きな「輪」状にして、その中をくぐります。
茅の輪くぐりの由来は?
では、茅の輪をなぜくぐるのでしょう。
茅の輪くぐりは日本の神話に基づいていると言われています。
備後の国(今の広島県東部地方)に「備後国風土記」という書物があります。
その中で、この伝説が語られています。
旅人が日も暮れてきたので、ある兄弟の家(将来兄弟という)に宿を求めて訪ねていきました。
まずは裕福な弟のところに行きましたが、裕福にもかかわらず断られてしまいました。
そこでお兄さんの蘇民将来の家を訪ねると、貧しいにもかかわらず丁重にもてなしてくれました。
実はこの旅人は有名なスサノオノミコト(伝説では武塔神と言われていますが、スサノオノミコトと同一とされています)で、この弟にお礼に茅の輪を授けられ、将来の災いから逃れて子孫繁栄できたという伝説です。
この伝説から茅の輪くぐりをされるようになりました。
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茅の輪くぐりのやり方は?
基本のやり方は
- 茅の輪の前で一礼
- 右足からくぐり右回りに回って戻る
- 茅の輪の前で一礼
- 左足からくぐり左回りに回って戻る
- 茅の輪の前で一礼
- 「神拝詞(となえことば)」を言いながら左足からくぐる。神拝詞は『祓い給へ 清め給へ 守り給へ 幸え給へ(はらへたまへ きよめたまへ まもりたまへ さきはえたまへ)』
- 御神前まで進む
- 二拝二拍手一拝をしてお詣りする
です。
地域や神社によって多少違ったりしますので、事前に確認したほうがいいでしょう。
茅の輪くぐりでやったらいけないこと
茅の輪くぐりでは、コレは絶対しないでください!ってことがあります。
それは、茅の輪の草を抜いたり、それを持って帰ることをしないことです。
なぜかというと。
茅の輪は結界であり、穢(けがれ)を吸収する依代(よりしろ)です。
それに触ることは、せっかく祓(はら)った穢(けがれ)をもう一度戻すようなものだからです。
ましてや家に持って帰るなど、穢(けがれ)を家にばらまいているようなものです。
なので、絶対にしないでくださいね。
最後に
夏越の祓の意味や由来、茅の輪くぐりのやり方について解説しました。
今まで知らなかった人は、一度行ってみてください。
「今年も無事に夏の暑さを乗り越え、元気に何事もなく無病息災でありますように。」といった思いを感じることができますよ。
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