ロードレースのチームプレーについて
サイクルロードレースは、マラソンの様な個人競技と思われている人もいるかもしれませんが、実は色々なチーム戦略が交錯する心理スポーツです。
そこでロードレースのチームの各役割やチームプレーについて解説していきます。
どの様な役割(ポジション)があり、どの様な戦略があるのかをひもといていきたいと思います。
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目次
ロードレースチームの各役割(ポジション)は?
ロードレースは大勢の選手が長い距離をただ走っていると思われがちですが、実は各選手にはサッカーやバスケットボールなどと同じように役割(ポジション)があります。
昔は逆にチームプレー禁止の個人競技だったようですが、現在のチーム体制へ移行していきました。
ロードレースチームのエースは?
エースはチーム一番の実力者が担(にな)います。
実力者といっても常に1人が決まっている場合ばかりではなく、レースのコース内容、メンバー、コンディションなどでその時々の実力者が抜擢(ばってき)されます。
例えば、山岳の登りが多いレースであれば、登りを得意とする【クライマー】がエースとなり、登りが激しくなく、レース終盤が勝負所となるコースであれば一瞬のダッシュ力、中距離のダッシュ力に優れた【スプリンター】がエースに抜擢(ばってき)されるでしょう。
また、ツアーレースが得意な【オールラウンダー】がツアーの総合優勝を目指してエースの役割を担う場合もあります。
エースを勝ち取るために意外に重要なのはコンディションです。
前回のレースで圧倒的な強さを見せて優勝した選手が、コンディションを作りきれず次のレースは全然目立たないなんてケースも、ロードレースでは頻繁におこります。
究極のところまで追い込みをかけるロードレースはコンディションの調整がかなり難しいためです。
そんなエースのコンディションに着目するのも、ロードレース観戦においては面白いと思います。
アシストとは?
基本的には、エース以外の選手はある意味でみんながアシストとなります。
アシストの仕事はエースのスタミナを温存し、勝負所でエースが全ての力を発揮できる様にサポートする事です。
・風除け
アシストの仕事の中でも一番の仕事は風避けです。
ロードレースでは自転車の後ろにピタりと自転車が張り付き、風を受けない様にしながら走ります。
先頭で風を受ける人は風を押しのけて走らなければならないため、後ろの人よりもペダルが重くなります。
後ろを走る人は前の人よりも35%も出力が軽減されるようです。
これによりアシスト選手は終盤にまでには足を使いきり、自分は何とかゴールするという献身(けんしん)的なサポートをします。
他にも色々なサポートがあります。
・水分等の運搬、供給
エースが「アクア!(水)」と言えば水を差し出します。
500mlの水を保有して走れば常に500グラムの重りを背負っているのと同じです。
自転車は1グラムでも軽く!なんて追求されるロードレースならではの役割ですね。
・機材供給
エースが途中でパンクすれば自分のホイールも差し出します。
基本はチームカーがエースの後ろを走っており、そのクルマに車載されたセカンドバイクに乗り換えて再度走りだしますが、サポートカーが、遅れていたりするとまずは自分の自転車を差し出すこともあります。
サポートカーからセカンドバイクを受け取れた場合は、アシストはエースをガンガン引いて(風除けになりながら走る事を【引く】という)前を走る集団に復帰させます。
ロードレースのチームプレーについても解説
ロードレースでは各役割をになった選手達がみんな、エースを優勝させるために力を合わせ、知恵をしぼります。
そんなチームプレーについても解説していきます。
序盤から中盤までのアシストによるアタックは?
中盤までのアタックはチームのスポンサーをテレビにアピールする働きをします。
逃げ集団に乗ればより長い時間映る為、スポンサーには喜ばれます。
しかしながらこれはレース自体の戦略ではなく、あくまでパフォーマンスです。
若手選手であれば自身の力のアピールにもなります。
〇〇トレイン
〇〇トレインもロードレース特有のチームプレーと言えます。
日本では〇〇列車などとも言います。
〇〇にはチームの名前が入ったり、エース選手の名前が入ったりします。
ロードレースで一番の大敵はやはり風です。
風をもろに受ければスタミナはどんどん失われます。
その状態で風を受けずに走っていた選手にアタックを掛けられようものなら、あっという間に脚が売り切れて置いていかれてしまいます。
自分のチームのエースがその憂き目(うきめ)に合わないためにも、常にアシストが前を引きます。
しかしながら一人で走り続ければすぐに疲れてスピードが落ちてしまいます。
そこで、チームのアシスト達は数十秒〜十数秒づつ風を受けては次の選手と交代といった形で【先頭交代】を繰り返します。
前の選手の後ろにまた選手、そのまた後ろに選手といった具合に連結して走る事から【トレイン】と表現されます。
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チームの終盤の戦略は?
終盤に、逃げ集団を捕まえに行く際は、自分のチームだけでなく、各チームが公平に先頭交代して大型トレインを形成(けいせい)します。
一人が弾く時間が短いため、かなりスピードが上がり、どんなに先に逃げている先頭集団もほぼ吸収されてしまいます。
逃げ集団にチーム員を送りこんでいるチームは、自分のチームに追いつく助けをする事になるため、追走集団の中でトレインに加わりません。
この暗黙のルールがあるからこそ、逃げ集団にチーム員を送り込む戦略を取るのです。
ゴール前のチームプレー
ゴール前では、スプリント力が抜群なエースを擁(よう)するするチームのトレインが先頭をガンガン引きます。
最後の最後にはスペースシャトルの様に一人づつ切り離されて行き、エースが絶妙なタイミングで飛び出しスプリント!
そして優勝となれば全てのサポートが報われます。
最後に
ロードレースのチームプレーについて解説しました。
ロードレースがいかにチームプレーなのかご理解いただけたでしょうか。
チームプレーを理解すると、ロードレースをディープに楽しむことができますよ。
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