トイレの神様って時々聞きます。
トイレの神様って歌もありました。
トイレをキレイにしておくと、お金持ちになったり、べっぴんさんになったり、いいことが起きるとか。
成功している人はトイレ掃除はかかせないなんて聞いたこともあります。
でも、トイレの神様って本当にいるのでしょうか?
そこでトイレの神様が本当にいるのか?やトイレの神様の由来について解説していきます。
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トイレの神様は本当にいるのか?どんな神様?
結論から言いますと、トイレ『にも』神様はいます。
『にも』と言ったのは、他にも家の中にはさまざまな神様がいるからです(後で解説します)。
その中でトイレにいる神様を厠神(かわやがみ)と言います。
この神様は男女お二人の神様です。
埴山毘売命(はにやまひめのみこと)という女性の土の神様と、水波能売命(みずのはのめのかみ)という男性の水の神様です。
おもに東日本の風習に雪隠参り(せっちんまいり)という儀式があります。(雪隠とはトイレの昔の呼び方です)
赤ちゃんが生まれて7日目に、産婆さんが赤ちゃんを抱いて厠神(かわやがみ)様に参ると、美人の子に育ったリしっかりした子になるというものです。
また、
- 妊娠した女性がトイレ掃除をするときれいな子が生まれる
- トイレで唾を吐くと神様から罰(ばち)が当たる
- トイレを粗末にすると、目や歯や耳などの病気になる、
- はやり病の際は厠神に祈ると治る
などの伝承が日本全国にあります。
これらの伝承からわかることは、トイレをキレイにしておかないと、いろんな災いがくるということですよね。
今ほど医療が発達していなかった昔の人にとって、災いとは病気であることも多かったと思います。
病気になることは昔の人にとって、本当に命に関わることだったでしょうね。
今でもトイレをキレイにしていないと、カビや細菌の宝庫になってしまって、感染症のリスクが高まります。
トイレに神様がいると思うことで、トイレをキレイにして感染症にならないように予防していた部分も大きかったでしょう。
地方によってはトイレの神様を七福神の一人の弁財天だとするところもあります。
弁財天は、もとはインドのヒンドゥー教から来た水の神様で、七福神の中で唯一女性だったことからトイレの神様とされたといいます。
また、火の神様である烏枢沙摩(うすさま)明王がトイレの神様だとする地方もあります。
烏枢沙摩(うすまき)明王は、仏教の神様で火を司るとされており、この世のあらゆる不浄なものを焼き払うと言われています。
結構有名な神様で、曹洞宗、天台宗、真言宗、浄土宗などのお寺に行くとその仏像が見られます。
他には大地の金神、金勝要神(きんかつかね)の神という神様がいるという説もあります。
菊理姫(くくりひめ)とも、須世理姫(すせりひめ)とも言われるようです。
名前からしてトイレをきれいにするとお金持ちになるというのは、こんな神様からきた説なのかもしれません。
ものすごく徳の高い神様みたいで、トイレから出てこの世に現れたら、世の中が変わるなんて説もあります。
日本人はこのようにトイレにいろんな神様がいると考えられていたんですね。
トイレは日本人にとってとても大切な場所だったみたいです。
トイレの神様の由来は?
最近は皆さんトイレと言っていますが、ちょっと前まではお手洗い又は便所でしたね。
その昔は先ほども言いましたように厠(かわや)と言っていました。(はばかりとも言いますが。それは厠のおんな言葉です)
字の語源は中国の甲骨文字から、読み方は川の上にトイレが立っていたので川屋という説と、母屋のそばに立っていたので側屋という説があります。
これらの説のように、ちょっと前まではトイレは家の外にあったのです。(いまでは家の中にあるのが当たり前になりましたが)
なぜ外にあったかというと、トイレに排せつ物をためて肥料にしていたからです。
なので、トイレは単なる排せつのための汚い場所ではなく、大切な作物を育ててくれる神聖な場所だったのですね。
そんな大切な作物を育ててくれる肥料だったので、トイレに神様がいると考えられたのかもしれません。
他にも大切な場所は家のあちこちにあって、そこには必ず神が住むとされていました。
昔から日本人は、四季の移り変わりや自然現象のそれぞれに神が宿るとして畏(おそ)れ、敬(うやま)い、崇(あが)めて、自然の恵みを大切にして生きてきた民族なんです。
それを八百万(やおよろず)の神々として祀(まつ)ったのです。
古い家に行くと、今でも家のあちこちにお札が貼ってあるのが見られます。
(最近よく聞く地縛霊を封じるためのお札とは、全然違いますのでお間違えの無きよう)
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家の中にいる他の神様たちは?
ついでと言っては何ですが、家の中にいらっしゃる神様方をご紹介していきますね。
まず家宅六神(かたくろくしん)と言われる神様がいます。
- 石土毘古神(いわつちびこのかみ)⇒壁土の神様
- 石巣比売神(いわすひこのかみ)⇒石砂の神様
- 大戸日別神(おおとひわけのかみ)⇒門の神様
- 天之吹男神(あめのふきおのかみ)⇒屋根の神様
- 風木津別之忍男神(かざもつわけのおしおのかみ)⇒暴風から家を守る神様
そして家の中には、もっと多くの神様がいらっしゃいますが、主な方々をご紹介すると
- 大歳神(おおとしがみ)⇒一年の初めに訪れる、家を守護する神様
- 天之水分神(あめのみくまりのかみ)⇒水回りを護る神様
- 火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)・三宝荒神(さんぽうこうじん)⇒台所・浴室の神様
- 大黒様(だいこくさま)⇒戸棚や柱の神様
- 天石門別神(あまのいわとわけのかみ)⇒門の神様
といったところでしょうか。
こうしてみると家の中は神様だらけですね。
神様が宿るとして物を大切にしようとした日本人の心持ちを感じられますね。
最後に
トイレの神様は本当にいるのかということと、由来について解説しました。
たとえば、お寺の修行で最も大事な修行の一つとしてトイレの掃除があります。
そのように、トイレを磨くのは自分の心を磨くということだというのです。
トイレをきれいにすると、べっぴんさんになれるという話も聞いたことがありますが、心がべっぴんさんになれるということなのかもしれません。
見てくれではなく中身を磨けというのは厳しい言葉ですが、本当にためになる言葉ですね。
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